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脆弱性?脆弱性診断?セキュリティの専門家が徹底解説セキュリティ対策の疑問
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羽鳥 拓也
2024年12月23日
Webサイトへのログイン機能は誰もが日常的に利用する基本的な仕組みです。しかし、ログイン機能を実装する際には、様々なセキュリティ上の課題を考慮して実装をする必要があります。特に、独自の認証フローを実装する際には、予期せぬ脆弱性が生じ、利用者の情報が危険にさらされる可能性があります。この記事では、ログイン機能におけるセキュリティの重要性や注意すべきポイントについて解説します。
ログイン機能は、システムにおいて重要な役割を果たしています。ログイン機能を利用することで、システムは利用者本人であることを確認し、利用者に付与されている権限に従い、システムはデータ、機能などを利用者に提供します。
もしログイン機能に不備がある場合、悪意のある利用者により、任意の利用者へのなりすましや、特権ユーザとしてのログイン、もしくはそもそもログインを行う権利を持っていないにも関わらず、システムの機能を利用できてしまう可能性があります。
例えば、顧客の個人情報を多く扱う物流システムや金融システムのログイン機能に不正にログインできる脆弱性があると、悪意のある第三者が、それらのシステムへ不正にログインし、本来は秘匿されるべき顧客の個人情報を取得できるリスクが生じます。そのため、ログイン機能はセキュリティの観点からも、非常に重要度の高いシステムの一つ。このことから、ログイン機能はシステムにおいて非常に重要な役割を担っています。
ログイン機能には、意外と知られていない「お約束」がいくつか存在します。システムの安全性を高めるためには、ログイン機能を実装する際に、これらの暗黙的なルールを把握しておくことが重要です。
ログインに失敗した際はエラーメッセージで詳細な情報を返さないようにします。詳細なエラーメッセージは、不正な第三者がアカウント情報を特定しやすくなるためです。
例えば、ログイン失敗時に失敗の原因をユーザに伝えている場合です。ユーザIDが存在しない場合は「ユーザが存在しません」、パスワードが間違っている場合は「パスワードが間違っています」。こうしたメッセージは一見、利用者に対して「なぜログインが失敗したのか?」を伝える親切な設計のように見えますが、それらの情報は悪意のある第三者にとっては「どのユーザIDでログインを試行すればよいか」のヒントを与えることになります。
特定回数以上のログイン失敗でアカウントを一時的にロックすることで、連続した不正アクセスを防ぎます。基本的にはユーザアカウント毎に失敗したログイン回数をカウントし、一定数を超えた場合はアカウントロックをする必要があります。
ログイン機能のような複雑な機能をゼロから独自に実装すると、バグや脆弱性が生じる可能性が高まります。前述した「ログイン機能を実装する際のお約束」を知らずにログイン機能を実装してしまうと、それがバグや脆弱性となり、システムのセキュリティを脅かすことになるからです。
特に、セキュリティを確保するための暗黙のルールが多く存在するログイン機能では、これらを理解せずに独自実装することで、思わぬセキュリティホールを生むリスクがあります。このことから、ログイン機能のようなシステムにとって非常に重要な機能は、ゼロから実装するのではなく、既存で存在するサービスなどを利用して、セキュアに開発する必要があります。
安全なログイン機能を構築するためには、既存のIDaaS(ID as a Service)やWebアプリケーションフレームワークのログイン機能を活用することがおすすめです。これにより、安全性と信頼性を高めることができます。
各企業が提供しているIDaaSのシングル・サインオンを利用することで、利用者にとってセキュアなログインを提供できます。IDaaSを利用することで、ログインIDやパスワードなどのログインに必要な情報も、IDaaS側でセキュアに管理することができます。しかし、IDaaSの特性を理解して正しく設定を行う必要があり、IDaaSに精通したエンジニアの知識が必要になる場合があります。
各Webアプリケーションフレームワークが独自で提供しているログイン機能を利用することで、セキュアなログイン画面を提供できる可能性があります。近年のフレームワークは、デフォルトでログイン機能を作成する機能が用意されており、それらのログイン機能を用いることで最低限のセキュリティを担保できます。
しかし、エンジニアによる拡張性が高い分、エンジニアのセキュリティ的な知識は求められますが、ゼロベースで開発するよりもセキュリティに強いログイン画面を作成可能です。
ログイン機能はシステムを利用するために必要な機能の一つであり、利用者の安全を守るための要となる機能です。独自実装にはセキュリティリスクが伴うため、可能な限りフレームワークやクラウドサービスの認証機能を活用し、安全で信頼性の高いシステムを構築することが重要です。